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ゲッツ板谷のスケルトン忠臣蔵

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板谷宏一

1964年東京生まれ。10代の頃は暴走族やヤクザの予備軍として大忙し。その後、紆余曲折を経てフリーライターに。著書は「板谷バカ三代」「ワルボロ」「妄想シャーマンタンク」など多数。2006年に脳出血を患うも、その後、奇跡的に復帰。現在の趣味は、飼い犬を時々泣きながら怒ることと、女の鼻の穴を舐め ること。近親者には「あの脳出血の時に死ねばよかったのに」とよく言われます。

Vol.11 最終戦争VSケイコ!!(後編)


 オレの仕事机の近くに壁に貼ってある小説のキャラクター表、それに百円ライターで火をつけるケイコ。
 もちろん、そのペラペラの紙は一気に燃え上がり、オレは慌てて机の上にあったグラス入りのアイスティーをかけていた。
「なに慌ててんのよっ。バカじゃない! そんなんで火事になるわけないじゃないっ」
「テメー、なに考えてんだよっ!! 今、お前が燃やしたのって、オレがこれから書く小説、それに出てくる人物たちのキャラクター表なんだよぉぉぉっ!! どうしてくれるんだっ、バカ野郎!!」
「あら、じゃあ、もう一回書いて貼っとけばいいじゃない」

 まだポタポタとアイスティーが垂れてる壁面を見ながら、そんなことを言ってほくそ笑むケイコ。
「つーかっ、結局お前はオレから金を借りようとしてるだけじゃねえかよっ!! 数年前には北海道から催促の手紙まで送ってきやがって! もういいっ。お前とは金輪際縁を切る! もう、2度とこの家に入ってくるなあああっ!!」

「ア、アタシは、そんなつもりじゃないわよ……」
 今までとはガラリと変わってるケイコの表情。彼女は更に真剣な顔つきで言葉を続けた。
「この前も言ったけど、アタシ、熟女パブで働くようになってからお金も沢山稼げるようになったし、ココに来るのはお金を借りるためなんかじゃないっ」
「じゃ、何のために来るんだよっ! 概ね自分が散々無茶を言いまくったオッさんたち、ソイツらをオレに怒鳴らして大人しくさせるためだろうよっ!!」
「アタシはっ、コーちゃんのことが好きなのっ!!」

 突然、声をデカくするケイコ。さらに……、
「もっとストレートに言えばっ、コーちゃんのことを愛してんのっ!! SEXだって、フェラチオだって、シックスナインだって、アナルSEXだって何だってさせてあげるわよっ!! アタシはっ、アタシは……もう20年近くも前からコーちゃんのことが………うぅ、ううううう」
 あろうことか、今度は急に泣き出すケイコ。
「いや、とっ……とにかく、オレたちは親戚同士なんだし……」
「そんなもんっ、関係ないわよっ!! アタシ、コーちゃんとのSEXを邪魔するなら、親だってブッ殺してやるわよっ! うっ、うううううううう……」
「お前………」
「うっ。ううううう……うっ……あっ、ヤバっ、もうこんな時間! コーちゃん、ちょっと待っててねっ」

 唐突にそう言ったかと思うと、今度は自分の懐からピンク色のケータイを取り出し、慌ただしく誰かの電話番号をプッシュするケイコ。
「あっ、いやがったな、このジジイが! それで、いつお金を持ってくんの? アタシは、もう3日間も待ってんだぞっ!!」
「……………」
「えっ!? 嫁の具合が悪い~? 知るかっ、そんなこと、このクソボケがっ!! いいからアンタは、早く10万をアタシに届けろよっ! それが今、お前が生きてる唯一の理由だっ、このチンカスジジイが!!」
 それから数分後、ようやくケータイを切るケイコ。オレは、この女と今日こそ決着を着ける心の準備を済ませていた。

「何だよ。お前、金は沢山稼ぐようになってたんじゃねえのかよ?」
「えっ……それと貸した金とは別よ!」
「でも、ジジイも10万円であそこまで文句を言われちゃタマんねえよなぁ~。お前、ホントにそんなに金回りがいいのかよ、え?」
「まぁ……い、今は、また少し苦しくはなってきたけど」
「つまり、もうお前にダマされるジジイは殆どいなくなっちまったんだな」
「酷いっ、コーちゃん! 何てこと言うのよっ。うっ……ううううううううう」
「もうウソ泣きはお腹一杯だから、とにかくこの家から出てってくれよな!」
「ううううう……じゃあ、コーちゃん。20万円貸してよ!」
「ふざけんなっ!」
「いや、実はアタシ、アンタのお母さんのヨッちゃんに7年ぐらい前に20……いや、50万円貸してたのよっ」

  バチーーーーーーーンンンッ!!

 気がつくとケイコの頬に向かってオレは猛ビンタを放っており、しかもその後、彼女が着ているシャツの襟首を掴んで次のように叫んでいた。
「ウチの死んだオフクロがっ、テメーみてえなゴミ虫に金なんか借りるわけねえだろうがあああっ!! いいから、テメーはっ、とっとと消えちまえええええ~~~~~っ!!」


 4日後の日曜日。ウチに、ダンボールの箱に入ったケイコからの荷物が届いた。中を開けてみると、オレが今まで出した約30冊の単行本が入っていて、その1冊1冊の表紙に点数が書いてあった。点数は、その30冊近くの本を合計しても、たったの42点。そして、『板谷式つまみ食いダイエット』の表紙には、さらにこんなことが赤のサインペンで書き殴られていた。
“アナタのライターとしての価値は、そんなもの! 誰が、お前なんかとSEXするかっ!!”

はいはい。でも、もうお前のネタだって、1ミリも笑えねえんだよ。……じゃあな、直舌のケイコ。

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